文明と気候

2020年現在世界の覇権を握っているのはアメリカと中国ではないでしょうか。1980年代ぐらいからは日本とアメリカ。60年代はアメリカとソ連。戦前はイギリスやフランス。トルコのオスマン帝国も広大な領土を持っていました。オランダ東インド会社の時代もありましたし、スペインが「日の沈まぬ国」なんて呼ばれた時代もあります。

世界史の教科書を覗くと、歴史上大きな王朝の栄えた地域はヨーロッパ、北アフリカ西アジア、中国、だいたいこの辺りに集中しています。アフリカやアメリカ大陸などには、目立った王朝がありません。なので、ヨーロッパの植民地にされています。日本もそうです。中国の三国志の時代はまだ古墳時代です。

この違いはなんなのでしょうか。同じ人間で、能力的な優劣は考えにくいと思います。

 

高度な文明が発展した地域

・ヨーロッパ

北アフリカ

西アジア

・中国

 

これらの地域に共通することは狩猟や採集が困難な気候ということです。ヨーロッパは寒いし、北アフリカ西アジア、中国は乾燥地帯です。そのため、人間が生活するためにはどうしても農耕が必要になり、農作物をより多く手に入れるため競争や争いが生じます。争いを繰り返すうち、勝者が生まれ、支配者となり、国家を形成するのです。

一方でこれ以外の地域は温暖な気候や自然に恵まれるため、農耕をする必要がありません。アフリカ中央部、中南米、東南アジア、日本がそうです。

日本で稲作が始まったのは、諸説ありますが、およそ3000年前です。狩猟で十分食料を賄えていたとしても、農耕は多くの食料を安定的に供給できるため、いったん始めると人口が爆発的に増えます。増えてしまった後では狩猟に戻ることはできません。日本の戦いの歴史はこの辺りから始まります。

 

つまり、厳しい環境の方が文化が発達するということです。

そう考えると、黒人に対する人種差別なんて全くのお門違いで、見方によっては気候に恵まれないヨーロッパの人々がひがんでるようにさえ見えます。しかしそのおかげでヨーロッパには立派な文明が育ち、18世紀には産業革命にも成功しました。全ての原点は、狩猟のできない厳しい気候にあったのかもしれません。

今日は、世界の文明の成り立ちを気候学的に考えるお話でした。ではまた、今度